公認会計士のがんじがらめです!
3月末日や4月初旬は期末監査手続として、クライアント先で実査をすることが多いです。今回は、誰にでも実査をイメージ出来るよう手続を簡単解説するよ!
実査って何するの?
1.実査ってそもそも何? なんでこんなことするの?
早速ですが、実査とは以下の手続を言います。
「資産の実在性を確かめるために、公認会計士が現物を実際に確かめる監査手続。現金、受取手形、株券などの資産が、帳簿どおりに実在するかどうか実際に目で見て、数を数えて確かめる最も確実な方法。実査は決算日を基準に行うが、実務的には決算日後のなるべく早い時期に会社に訪問して実施することが多い。実査の対象物には換金性の高い物が多いので、一時的に融通して不足金を隠蔽しないように、現金、受取手形、株券などは同時に実査するのが望ましい
日本公認会計士協会のHPの「実査」より引用
まあ要するに、会社の現金や、有価証券の実在性を立証するために、監査人が自ら期末日(期末日後付近)に現物をカウントしにいく手続の事なんです。監査人自ら現物を直接確認するわけなので監査証明力は強く、監査上、重要な手続なんですね。
一方で、最近では、受取手形を用いて取引をする会社はほとんどみなくなりましたし、有価証券も株券の電子化により管理している会社がほとんどなので、これらを実査をする機会が減りましたね。
また、現金についても従業員が現金を着服するリスクがあるため、なるべく会社に現金を置くのを辞めましょうとアドバイスする会計士さんもいらっしゃいますし、最近の電子マネー化の流れから会社が現金を保管する意義も乏しくなってきているなと感じます。
このように現代では実査の意義が乏しくなるようなことを書いていますが(笑)
金融機関や古くからある老舗の会社などについては現金や受取手形を大金庫で大量に保管しているし、実査は「令和」の時代でもまだまだ健在な監査手続です。
2.早速実査をやってみよう!実査手続の流れ
直近で私が実査をしてきた会社を例にとり、具体的にどんな流れでやっているか説明するね!
4月1日 AM10時:A社到着。経理担当者に事前依頼資料である、①当日の現金内訳表②現金補助元帳③実査対象である現金、預金通帳、株券を提出してもらう。
AM10時15分:実査開始!!
実査では会社経理の方に立ち会ってもらう。
また③の実査対象もすべて同時に提出してもらう。
⇒これらは換金性が高く、相互に融通して不正をすることができちゃうから同時に提出をお願いするんです。(例えば自社の株券を担保に外部から現金を借入して現金を水増しし、現金実査終了後に外部から株券を買い戻すリスクを防ぐためだね!)
③の現金、預金通帳、株券を確認したら監査調書に記録しよう!
実際にはエクセルにメモしたり、前期調書を更新する形で記録していきます。現金だったら実査したら①の当日の現金内訳表の各種貨幣の数を✔します。
ちなみに預金通帳も実査で確認する理由は、預金通帳も経済的に価値があるものであり、これを担保にできちゃうからなんだよ。
現金、預金通帳、株券を数えてもまだ終わりじゃないよ!
「現金」は4月1日時点の残高を実査しているわけなので、4月1日と3月31日時点の補助元帳を提出してもらって、3月31日までの増減の有無を確認しよう。もし、増減内容を確認し異常な増減があれば追加の資料依頼や質問などして増減内容を把握します。このようにロールバックして3月31日時点の残高を検証していきます。
次にやることはこれら実査対象物について会社の管理状況を検討します。実施理由としては、簿外資産の有無だったり、会社の内部統制をチェックするためですね。
具体的には、金庫内部を観察して、資産計上すべきものはないか、預かっている資産はないか(有る場合、会社資産と区別しているか)、金庫の鍵は誰が所有しているか、などですね~。
管理状況を見させてもらったら、最後に講評ということで、監査人が会社に管理状況についてコメントしてあげることが一般的です。
以上がだいたいの実査の流れです!
所要時間はだいたい30分~60分くらいでしたが、会社によって異なりますね。
最後に、「監査人に実査対象の物をすべて提出しましたし、私が立会しました」というお決まりの書面に経理担当者のサインをもらったら手続終了です。
いや~、お疲れ様。。
実査の際には、必ず会社の人に立ち会ってもらうのが実査手続での留意事項です。仮に実査中に立会無しで現金等を紛失すれば、監査人は言い逃れできないからね!⇒ていうか、これ、修了考査ででるよ!(笑)
3.実査のあるあるや、実査のQ&A
・紙幣を数える場面があると思うので、スタッフは銀行員みたいに紙幣を数える練習はしたほうがいいです(笑)
・実査の最後に講評をすると思います。初めて実査をするスタッフは緊張すると思いますが、場数で慣れます。
・実査当日は、確認状も同時に発送したり、現場に監査役がくることもあるので慌ただしいことが多い。
・実査、棚卸立会、確認は修了考査の頻出論点です。受験生は手続を語れるくらい知識を深めましょう!
実査については以上。
現場ではこんな感じでやってますよ~。
この記事について、ご閲覧ありがとうございました。