監査調書の増減コメントの書き方を簡単にアドバイス

監査実務・転職
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※この記事は、受験生やスタッフ1年目に向けて書いた記事です。

監査調書の増減コメントとは


監査法人のスタッフはクライアント先に行くと

監査チームのインチャージから科目調書を割り当てられます。

「きみは今日はこの科目やってね」という感じで。

(もしくは分担表があるはずなのでそこで自分の担当調書を確認できるかと)

この科目調書を作成するのがスタッフの主な仕事です。

そしてスタッフ1年年目に割り当てられる科目調書とは、

現金・預金調書、固定資産調書、買掛金調書、未払金調書、販管調書

あたりでしょうか。

(年次が上がり、シニアになると売上や見積り系の科目を担当する機会が多いです)

そしてこれら調書を作成する上でメインとなる作業が

「増減分析」となります。(他にも証憑突合とかいう重い作業もありますが割愛)

増減分析とは買掛金調書を例に説明すると、

当期末残高の買掛金残高と前期末比残高の差額を増減として

その増減理由を分析し、
コメントする必要があります。

この増減分析について、

監査するクライアントと担当する科目調書によって難易度がかなり変わります。。。

その話はまたの機会で。

スタッフ1年目がコメントしがちなクソ増減分析コメントについて

(前提条件)
売掛金 前期末:100M  当期末:30M 
クライアントは、とあるメーカー系の会社。

スタッフ1年がよくする増減コメント
→ 主要得意先A社(卸先)への売上減小△70Mに伴う売掛金残高の減少。

このコメント内容が事実だとしても責任者からダメだしされる可能性があります。

自分がインチャージであればコメントをもっと詳細に書くようにスタッフにいうでしょう。

理由はのちほど。

また、増減コメントは、クライアントに関与していない監査人でも理解できるくらいに
かみ砕いてコメントするとよいでしょう。

ここを意識すれば良い増減コメントとなると思う


増減コメントを書くときはこんな感じで書きましょう。

→ 消費者のトレンド転換に伴う主要得意先A社(卸先)への供給減少で前年同期比売上の減小△70M。 それに伴う売掛金残高の減少である。

このコメントとさきほどのダメなコメントとの違いは、

増減の背景(経済的事象)をきちっと調書化しているかどうかです。

増減の背景を記載することで、その増減が異常な理由による増減なのか

妥当な理由による増減なのかを判断できるようになります。



スタッフの調書をみるとたまにこの「増減の背景」が抜けているコメントをみかけるので

なぜ増減したのか、その背景を含めて分析し、調書化するようにしましょう。

なお、この「増減の背景」はクライアントにヒアリングしていくことになります。
(インチャージが理解しているケースもあるので、まず先にインチャージに確認するのが良いでしょう)

現金預金調書増減分析について軽く触れておきます


現預金調書の増減は複数の要因があるため増減コメントを作成する際には
簡易的にCF計算書を作成すると増減コメントも作成しやすいです。

たとえば、こんな感じで。

→ 現金預金の前期末比増減は+100Mであり、その増減理由は以下のとおり。

営業活動CF(間接法で作成):+200M(税前+50、減価償却費+10、etc)

投資活動CF:△50M(〇〇プロジェクトのため〇〇機械を取得△20M、、etc)

財務活動CF:△50M(〇〇銀行への借入金返済△30M、、etc)


の区分に分けて分析することで、しっかりした増減コメントが作成できるようになるでしょう。

増減コメントをしっかりかけるよう意識しましょう!!


増減コメントを作成する際には、増減の背景もしっかり理解して記載することで

良いコメントが書けるようになります。

またこの増減の背景を理解することが監査で重要な「クライアントビジネスの理解」につながり

もっと監査が楽しくなります。


ということで、スタッフは増減コメントを書く際には、背景も含めて監査調書を作成しましょう。

追記

そもそもですが、

スタッフの1年目や2年目はまだ監査調書の作成に慣れていなくて
ただただ、前期調書の数値を更新するだけ
に必死になりがちだとおもいます。


ですが、もう少し余裕がでてきたら

その調書で行われている監査手続をもっと効率的に行えるやり方がないか
前期調書から引き継がれているコメントについてもっとわかりやすく文書化してみる

などの意識を持つとあなたの成長につながるとおもいます!!

がんばりましょう。

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