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こんにちは、がんじがらめ公認会計士です。
今回は短答式の財務諸表論の理論問題について、一体、会計基準から何肢が原文でそのまま出題されているかを直近の過去問を見ながら検証していきます。要するに過去問研究です。
そのまま原文から出題されていることを検証する意義について
私が短答受験生時代、財務諸表論の過去問をみて、一体、基準の原文がどのくらいの割合で出題されているのかを実際に数えたことがありました。
実際には6~7割が原文のまま出題されていました。
これは私にとってかなり重要な情報でした。中にはテキストに記載のない文章も肢として出題されていることがわかったからです。
問題数の6~7割も原文がそのまま問題の肢として出題されていることがわかったら、予備校のテキストを読み込むこと以外にも会計基準を繰り返し読み込み、出題範囲の網羅性を補完することができました。
結局、合格年の時は、テキスト+会計法規集(背景含む)を読み込み、本試験の財務諸表論で168点を取ることに成功しました。
なお、短答の財務諸表全般の勉強方針は以下をご参考ください。
直近の過去問でもどのくらい原文がそのまま肢として出題されるのか把握できれば、皆さんの学習にも有益な情報が提供できるのではないでしょうか。
今回の検証で用いた過去問と問題数、肢数の確認
今回の検証で用いた過去問は、以下、公認会計士監査審査会で公表されている令和元年5月26日実施の「平成31年公認会計士試験第Ⅱ回短答式試験」の「財務会計論」を用います。
https://www.fsa.go.jp/cpaaob/kouninkaikeishi-shiken/tantou_mondai31b.html
また検証方法ですが、手許に会計法規集がないため、私の独断と偏見をもとに判定していきたいと思いますため、その点はご了承ください。。。(笑)
また問題を確認したところ、
理論の問題数と内容は以下の通りでした。
問題① 概念フレームワーク (4肢)
問題② 財務諸表等規則 (4肢)
問題③ 資産に関する問題 (4肢)
問題⑨ 収益認識に関する会計基準 (4肢)
問題⑬ ストックオプション (4肢)
問題⑯ 退職給付に関する会計基準および同適用指針 (4肢)
問題⑰ 研究開発費およびソフトウエアに関する問題 (4肢)
問題⑳ 四半期財務諸表 (4肢)
問題㉑ セグメント情報等 (4肢)
上記の様に、純粋な理論問題は9問で、出題された肢の合計は36肢でした。
この36肢の中から基準の原文がそのまま出題されている数を数えていきたいと思います。
実際に何肢が原文そのまま出題されているか検証してみた
各問題について、原文がそのまま使われていると私が独断と偏見により判断した肢を以下にとりまとめてみました。
問題① 概念フレームワーク
原文からそのまま出題と判断した肢数:4肢
これは肢すべてが原文をほぼ使われていると思いましたので、全4肢が原文から出題と判定しました。
問題② 財務諸表等規則
原文からそのまま出題と判断した肢数:2肢(4肢×補正0.5)
財務諸表規則の定義に関する問題でした。但し、私が受験生時代は財務諸表等規則を読み込んだことはありませんでした。最近の受験生も財務諸表等規則を読み込んでいるかは、不明なため、補足計算を組み込み、2肢(4肢×0.5肢)が原文からそのまま出題されたと判定します。
問題③ 資産に関する問題
原文からそのまま出題と判断した肢数:4肢
主に資産の定義、認識、測定、表示に関する問題で、概念フレームワークと企業会計原則を読み込んでいれば解ける問題です。これは特に捻った問題でもないため、全肢が原文からそのまま出題と判定しました。
問題⑨ 収益認識に関する会計基準
原文からそのまま出題と判断した肢数:4肢
企業会計基準第29号からの出題です。こちらも特に原文から捻った問題ではなさそうなため、全肢を原文からそのまま出題として判定しました。
問題⑬ ストックオプション
原文からそのまま出題と判断した肢数:0肢
こちらは株式報酬費用に関する理論問題ですが、現場対応型です。基準を理解した上で、その理解を問題に当てはめながら解く必要があるため、全肢が原文から出題されていない問題として判定しました。
問題⑯ 退職給付に関する会計基準および同適用指針
原文からそのまま出題と判断した肢数:2肢(4肢×補正0.5)
会計基準と適用指針からの問題でした。正直なところ、どの肢も退職給付に関する会計基準で見覚えがあるのですが、もしかしたら適用指針も読み込まないときついかもしれません。
適用指針について、私が受験生時代は読み込んだことはありませんでしたし、最近の受験生も読み込んでいるかは、不明なため、補足計算を組み込み、2肢(4肢×0.5肢)が原文からそのまま出題されたと判定します。
問題⑰ 研究開発費およびソフトウエアに関する問題
原文からそのまま出題と判断した肢数:3肢
会計基準からの出題でした。ア、ウ、エの肢は見覚えがあり、原文からそのまま出題されていると思いますが、イの肢は、原文の理解+応用が必要そうなので、原文からそのまま出題された肢を3肢と判定しました。
問題⑳ 四半期財務諸表
原文からそのまま出題と判断した肢数:3肢
会計基準からの出題でした。イ、ウ、エの肢は原文からそのまま出題されていると思いますが、アの肢は、原文からそのまま出題しているか不明のため、原文からそのまま出題された肢を3肢と判定しました。
問題㉑ セグメント情報等
原文からそのまま出題と判断した肢数:1肢
セグメント情報の会計基準からの出題でした。正直、セグメント基準の原文が今現在おぼろげにしか覚えていないのですが、すべての肢にすごい見覚えがありまして、ただこれらがセグメント基準からそのまま出題されているか明確な判断がつかなかったため、保守的に1肢のみを原文からそのまま出題と判定しました。
結果発表と考察
理論問題の36肢中、会計基準の原文からそのまま出題されたと判断した肢数は、23肢でした。
つまり理論問題のうち、63%の割合で原文からそのまま出題されていたこととなります。
この結果を受けて、どうやら私が受験生時代からの出題傾向は特段変更していなさそうです。
つまり、財務諸表理論の勉強方法としては、当時の私の時代と同じく、予備校の財務諸表のテキストの理解と暗記+会計法規集の読み込みで合格レベルに達するということとなります。
あなたはこの肢数の結果をみて、どう思われたでしょうか?
会計法規集の読込みの留意点について
会計法規集の読み込みについて私から1点留意点を言わせてください。
会計法規集の読み込みがいくら重要とは言っても、最初は予備校のテキストでの完全理解(目安としてはテキスト5~7回転ほど)を優先してください。
そして会計法規集の読み込みをするときは、予備校のテキストで記載のある文章は読まなくてよいです。時間の無駄です。テキストに記載されていない文章についてマーカーをして、その箇所のみ繰り返し読み込んで、テキストには記載されていない穴を埋めるようにしていきましょう。
これで財務諸表の理論について網羅的に学習が進められると思います。
また、会計士受験生であれば会計法規集はマストアイテムだと思いますが、もし入手されていない方がおりましたら、以下からどうぞ。
今回はここまで