よくある質問の代表格「独学で受かりますか?」
私のTwitterアカウントにDMで1カ月に1度は独学勢から
「公認会計士試験、独学で勉強しようと思っていますが合格可能ですか?また勉強方法を教えてください」という内容の質問がくる。
この類の質問に対して、私なりに独断と偏見で回答していきたいと思います。
※ここでいう独学勢とは、「市販の教材または過年度の会計士予備校の受験テキストをオークションサイトなどで購入して1人で受験勉強をする人達」と定義しておきます。
結論:独学での会計士試験合格は非常に困難。黙って受験予備校に申し込みましょう。
はい、以下の理由で私は独学での試験合格は非常に困難と考えています。
というかほぼ不可能です。
監査法人の周りで独学勢をほぼ見かけたことが無いからオススメできない
これは私が、前職の監査法人に勤めていた時の話ですが、先輩や同期、後輩で独学勢をまず見かけたことが無いです。
これが一番の本質のような気がします。独学で受かった人の事例を監査法人内で見かけたことがないのです。それほど会計士試験の独学は茨の道なのでしょう。
感覚的に、予備校に通って合格した人が8割、予備校に通っていないがDVD教材やインターネット通信などで自宅もしくは図書館で勉強して受かった人が2割(社会人の方が多い印象)、という勉強スタイルです。
みんな共通して受験予備校に申し込んで、スケジュール通りにカリキュラムを消化しています。
ちなみに私は、予備校に通って合格した部類に属します。
試験問題のトレンドからずれて学習するリスクもしくは学習範囲が網羅できないリスク
仮に独学で学習を開始したとしよう。
しかし過年度のテキストや答練(ミニテスト)を使って受験勉強するのはかなりリスクがあると考えます。
テキストや答練(ミニテスト)はその年の試験問題の予想を織り込んでいるため、最新のテキストや答練(ミニテスト)で学習をしていない独学勢は、その年の試験のトレンドを掴めていないという意味で予備校に属する受験生より不利となります。
また、過年度の予備校の教材や市販の教材で学習する場合、その年の試験の学習範囲が網羅的に勉強できないリスクがあります。(網羅性)
つまり会計士試験の科目の中で特に財務会計論、監査論、企業法、租税法については頻繁に基準や法律の改正がありますが、当該改正に関する問題が試験に出題された場合には、過年度のテキストや市販の教材ではキャッチアップされていないため、太刀打ちできない可能性が考えられます。
会計士試験は相対試験であるため「みんなが解ける問題を出来るだけ多く回答する」ことができれば受かる試験のため、やはり予備校の最新のテキストで問題演習をやり込む必要があります。
独学は学習時間が余計にかかるリスク
②と理由が少し重なりますが、最新のテキストや答練で除かれている論点が過年度のテキストや答練に記載されている場合には、それに気づかない独学勢は試験に出題される可能性が低い論点まで学習時間を割くことになるため、その分非効率な学習につながるといえます。
会計士試験に必要な総学習時間は概ね3,000時間から5,000時間といわれています。合格率も10%です。
そのため出題可能性の低い論点の学習はなるべく避けて、予備校の講師が作成した最新の学習テキストをやり込むことが合格への一番の近道になるのではないでしょうか。
また余談ではありますが、会計士試験の過去問を繰り返して説くことはかなり非効率なので辞めましょう。
他の国家資格とは異なり、会計士試験では過去に出題された問題がそのまま出題される可能性は著しく低いため、会計士試験の過去問を繰り返し解くのは不要なのです。
但し、試験の雰囲気や出題実績の分析をするために1度解いてみるというのは有効だと思います。
モチベーション管理という意味で明らかに独学勢は不利(ここ重要)
会計士試験は学習期間が長いです。通常2~4年かかるといわれますし、頭の良い人でも1~2年はかかるといわれます。
この点、予備校に属している受験生は、自身の講義の消化具合や答練の成績、周りの受講生との学習状況に常に触れる機会があるので、自分がいまどのような状態にいるかを常に把握できる環境にあり、進捗具合や周りの状況に対する気付きを得られるのでモチベーションが保てるメリットがあります。
また予備校によってはチューター制度があったり、どの予備校も講師に学習に関する相談ができるので、うまく利用することでモチベーション管理に有効です。
一方で独学勢の場合は、今自分がどの時点にいるのか把握する機会が極端に低いという点で予備校勢と比べて不利です。把握できると機会といえば、全国模試くらいでしょうか。
会計士試験は相対試験 予備校勢はトップ層達と自分を常に比較できる(ここも重要)
予備校に所属していれば会計士試験の成績トップ層に触れられる機会がある。
具体的には、彼等の答案の初回の点数や、予備校での学習に対する姿勢、喋れる仲であれば学習方法に関しても質問できる。
このようなメリットは予備校に所属していればこそだ。
同じ受験校のトップ層と別に仲が良くなくても、勉強に対する姿勢を遠目から見ていても得られる気付きはあると思います。
ちなみに受験に限らずだが、どの分野でもトップ層の日々のルーティンに触れられるというのはかなり貴重な機会だと思います。
トップ層のルーティンや常識を、あなたも受け入れたり取り入れることで飛躍的に成長できる可能性があるからです。
公認会計士の資格取得は「将来の自己投資」としてかなり有効 コスパという理由で受講費をケチらないように
独学勢がなぜ、独学を選ぶのか。彼等に理由をきくと経済的な理由が多い。
確かに会計士試験の予備校の受講費は低いとは言えないでしょう。
概ね年間60~80万円くらいでしょうか。
しかし、会計士試験を合格して監査法人に入ればすぐにこのくらいの額はpayできるようになるので「将来の自己投資」としてこの受講費用についてはケチる必要はないと思います。
今振り返っても、公認会計士の資格取得は将来の人生を豊かにするという意味でかなりおすすめの「将来の自己投資」です。会計士になると仕事の選択肢が広がりますので、本気で合格したいのであれば受験予備校に所属しましょう。
したがって、金銭的にコスパが良いからという理由のみで独学を選択するのは辞めた方がいいです。
私の合格時に在籍していた予備校など、科目別の予備校テキストを公開
余談ですが、私の所属していた予備校はこんな感じです。
短答式試験合格時:受験予備校としては大原に所属。ただし管理会計の理論についてはLECの1問1答の教材で学習していた。
論文式試験合格時:受験予備校としては大原に所属。ただし企業法と監査論についてはTACの答練を追加で学習、管理の理論についてはLECの理論テキストで学習していた。
ということで、独学勢は受験予備校に所属しましょうという記事でした。
ありがとうございました。
おまけ【今回のオススメ:暗記に役立つ記憶術に関する本】
今回の記事に関連して受験生向けに、私が特におすすめしたい記憶術に関する本を皆さんに紹介させてください。
「脳にまかせる勉強法」 出版:ダイヤモンド社
記憶術の世界大会で見事1位に輝いた日本人の方が書いた本です。
特にこの本の中で出てくる「3サイクル反復速習法」については私の受験生時代の学習方法とかなり近似しており、暗記が苦手な受験生について特に参考にしてほしい項目となっております。
ちなみに記憶術に関する本は5冊くらい読んだのですが、この1冊が実用的で受験生にも真似できる部分がありそうなので紹介させていただきました。
あなたの受験勉強が効率的なものとなるように、是非手に取って読んでみてください!
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